現在、小論文コースに通ってくれている生徒の作品の掲載です。
ポートランド・シアトル・バンクーバーWAで展開中の学習塾の巣鴨アドバンススクール。
ポートランド校教室長の御殿谷です。
エッセイを添削する?
私は、作文にしても小論文にしても、色々と添削することは肯定的ではありません。
なぜなら間違っているところを指摘するのは誰でもできるからです。
ここが「ですます調」ではない。
この漢字が間違っている。
ここが論理的ではない。
色々と言いたいことも出てくることでしょう。
そして、間違っている部分を訂正するのも時には必要だとは思います。
同じような間違いを何度もしていたら、訂正してあげるべきでしょう。
ただ間違いを直せばいい文章になるのか、と言うとそうではないんですよね。
いい文章って、作者の気持ちが読者に伝わる文章なんですよね。
生徒からも了承を得たので、一つ生徒の文章を紹介します。
小論文コースを取っている生徒が書いたものです。
課題としては、「ファクトフルネスを読んだことない人に読書したいと思わせる」です。
まずは、訂正前の文章です。その後に訂正後の文章が出てきます。
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「 ファクトフルネス 」を読んで!
あなたは、世界をどれだけ正しく見ることができているだろうか。ほとんどの人が、ドラマチックに考えすぎてしまっているのではないだろうか。現に私は、冒頭にあるクイズに半分しか正解することができなかった。それは私がメディアからの情報を鵜呑みにし、事実と比較して正しく考察することを怠ったせいだ。筆者であるハンス・ロスリングは「ファクトフルネス」を通して、私達に世界の本当の姿を教えてくれる。この本は、世界を正しく見るために読まなければならない一冊なのだ。
私達が世界について大きな勘違いをしてしまうのは、人間の脳に潜む本能のせいであると筆者は述べている。紹介された10個の本能のうち、単純化本能は私にも思い当たることがあった。ダイエットのために、短期間断食をするという人をよく見かける。「食べると太る」だから断食をするというのは、単純で一番早い解決策なのかもしれない。けれども、それだけでは根本的な解決にはつながらないのだ。断食をすると、ストレスによりリバウンドをしてしまうし、栄養失調にもなりかねない。確実に痩せるためには、労力と時間を費やしてでも、日頃の食生活を見直したり運動をするなどの対策が必要である。物事への解決策は必ずしもひとつでは無い。断食は個人の問題で収まるが、この単純化本能が世界レベルになると、大きな勘違いがとんでもない自体を引き起こすかもしれない。筆者が解説する本能はこれだけではない。日常にはたくさんの本能が潜んでいる。私達は本能がもたらす危険性を常に頭の中に入れて置かなければならないということをこの本が教えてくれた。
「ファクトフルネス」は題名からもわかるように、事実と向き合う本である。筆者は数多くのデータを踏まえ、過去と比較しながら人類の努力の成果を目に見える形で表してくれる。さらに、この本は事実を述べるだけでなく、筆者の実体験も描かれている。これらの体験談により、本能が引き起こす思い込みをよく理解することができる。また、読者も自身の生活を振り返り、自分に当てはめて考えることもできるのだ。
私達は、本能により、目に見える事実に踊らされ、悲観的に焦って物事を判断してしまう。人間の本能はどうすることもできない。しかし、本能をコントロールすることはできる。そのためには本能を理解することが大切なのだ。思い込みに気がつくことができれば、知っていると思いこんでいた歴史の出来事やニュースの見方も変わる。とんでもない勘違いをしないために、事実に基づく世界の見方をするために、この本を読んでほしい。
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私は色々と良かった点と訂正されるべき点などを伝えて、こう伝えました。
太字のところだけ残して、これをテーマにして、もう一回書き直して、と。
えぇ、またですか!?と言う生徒の声が上がったのは言うまでもありません。
そして、1週間後に提出されたのが、こちらです。
全く違ったものになり、私も驚きでしたが、書いた本人も全然違うものができた、とびっくりしていました。
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「 ファクトフルネス 」を読んで!(修正後)
私達は目に見える事実に踊らされ、悲観的に焦って物事を判断してしまう。これらの原因は、私達の中に潜む本能のせいである。人間の本能は、どうすることもできない。しかし、本能をコントロールすることはできる。そのためには、本能を理解することが大切なのだ。思い込みに気がつくことができれば、知っていると思いこんでいた歴史の出来事やニュースの見方も変わる。筆者であるハンス・ロスリングは「ファクトフルネス」を通して、私達に本能がもたらす勘違いや思い込みを教えてくれる。この本は、世界を正しく見るために読まなければならない一冊なのだ。
紹介された10個の本能の一つに、ネガティブ本能というものがある。この本能は、世界はどんどん悪くなっているという勘違いを引き起こす。なぜなら、人はネガティブ本能にとらわれ、物事のポジティブな面よりもネガティブな面に注目してしまうからだ。現に私も、この本に出会うまでは、世界は悪くなっているという思い込みをしていた。無差別殺人のニュースや交通事故、児童虐待などの悲惨なニュースが、常に携帯の通知画面に表示される。これらの情報に惑わされてしまったのは、私がそのことについて深く考えず、感じたままに判断してしまったからである。毎日ネガティブなメディアに触れるため、世界は「良くなっている」という事実からかけ離れているように感じられたのだ。しかし事実と比べてみると、世界で起こる犯罪の件数は減っていっているのだ。セキュリティーの強化や環境整備の改善など、世界は確実に進歩を遂げてきた。にもかかわらず、私達は今までの進歩から目を背けてしまっている。それは私達が、ネガティブ本能に支配されるがままなせいである。では一体どうしたら良いのだろうか。筆者は、実は物事が良くなっていることに気がつくためには、悪いニュースのほうが広まりやすいことに気がつくことだと述べている。何も考えずに、メディアから得られる情報を鵜呑みにしてしまっては、大きな勘違いに気がつくことができない。また、悪いニュースが増えたことにより、悪い事件が増えたと思う人もいるだろう。しかし、それは監視の目がより届くようになったからであり、世界が悪くなったわけではないのだ。あやふやな過去の記憶や偏った報道により、物事に対する判断力は鈍ってしまう。これはネガティブ本能が引き起こす結果であることを頭に入れて置かなければならない。そうすることによって、勘違いを防ぐことができるのだ。
本能とは人間が生まれつき持っている性質であり、なくすことはできない。けれども、本能がもたらす勘違いを止めることはできる。この本を読み、自分の中に潜む本能を理解し、思い込みに気がついてほしい。そうすれば、あなたも世界を正しく見ることができるだろう。
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いかがでしょうか。前者がピンボケしてしまった写真だったとしたら、これは焦点が合った綺麗な写真ではないでしょうか。
特にこの文章。
「無差別殺人のニュースや交通事故、児童虐待などの悲惨なニュースが、常に携帯の通知画面に表示される。」
この表現、しびれますよね。
具体的で、絵に浮かぶ文章です。
いいなと思った文章だけ残して、もう一度書き直してもらう。
細かな指摘をして、一つ一つ修正してもらうよりも、有効的な場合があります。
まとめ
作文、エッセイ、小論文など、いろいろな形はあれど、全てはアウトプットです。
アウトプットとは、何か一つのメッセージがあって、そこに肉付けされていくべきものです。
何か一つ、これを伝えたいんだ!というメッセージだけ残して、もう一度、全体を書き直す。
細かな修正ではなく、大胆に自分の言いたいことをズバッと伝える。
すると気持ちが入った文章になるのです。
気持ちが入っている文章は、他人を動かすほどにパワフルなのです。