2年間でESL卒業、3年間で英検準一級を取得した生徒の話

「先生、俺なんか英語わかってきたかも。」

そう答えてくれたのは、3ヶ月間の夏休みを終えた小学6年生の男の子でした。
彼は渡米して間も無く巣鴨アドバンススクールに通い、3ヶ月間の夏休みをほぼ毎日通い、ひたすら英語の基本習得に励みました。

その結果3ヶ月で日本の中学3年間分に匹敵する内容を習得。新学期を迎えての久しぶりの現地校登校の後、塾に立ち寄った彼は一言。

「先生、俺なんか英語わかってきたかも」と照れながら伝えてきました。

取り組んだことは一つ:大量に書く 彼が3ヶ月間に取り組んだことは、一つのみ。
それは、文章を大量に書くこと。

日本では『文法中心の学習より英会話が大事』と言われています。
しかし、ここアメリカでは全く逆の現象が起きます。
英会話は現地校でいくらでも吸収できるけれど、文法を体系的に学ぶことはない、ということです。

この文法というと「主語と述語」「現在完了」に「進行形」などと文法用語を考えがちですが、当校ではそういった文法用語は最小限に学習してもらい、とにかく型を身につけてもらいます。

 

型とは何か

型とは「this is a pen」「I go to school」などの基本的な文章になります。適当に文章を羅列して見ます。
・This is a pen.

・This is not a pen.

・This is my pen.

・This is not my pen.

・This is your pen.

こういう簡単な文章をたくさん書いてもらいます。
そうすることで、型が自然と身につきます。

Thisの後にisが来るんだな。
その後にa penなんだな。
aがないときは、myとかyourが来るんだな。

こういったことを、文法用語を使わずとも、こういうルールなのだ、ということを自然と学んでいくのです。

ただ自然と学ぶには大量に書く必要があります。
またその中から法則を見つけていく習慣が大事です。

ただ、書くだけでは型は身につきません。

 

コピー機にはならない

何度も似たような文章を書いてもらう上で、大事なことは、コピー機にならない、ということです。

This is a pen. という文章を書いてもらうとしましょう。
子供達がまずやることは、Thisを書くことです。

その後、isを書いて、a penと書いて行きます。
この時に、お手本となる文を見ないで、ノートに書き写してもらいます。

つまり、「this is a pen」を文章丸ごと覚えてもらい、ノートに書き写すのです。
これは想像以上に難しい作業です。
特に初めて英語に触れる子供達は、なかなかできません。
そしてこれを繰り返すうちに、どんどん長い文章もスラスラと書き写せる様になるのです。

「I have a pen that I bought in Japan.」という文章がスラスラと、原文を見ずにかける様になればしめたものです。

5年間でしみついた我流英語

この様に文章をたくさん読み、たくさん書く。
その中で型を習得していく。
この作業を行うことで、我流の英語になることを防ぐことができます。
私が見た生徒の中には、アメリカ滞在5年という生徒が初めて塾に来たことがありました。

英語は問題ないだろう、と思っていたのですが、英作文を書かせると、これがひどい文章でした。
三人称単数のsがないのは序の口ですが、文章に主語や述語がなかったり、過去形と未来形を混ぜて使ったり、読んでいて苦痛と言ってもいい文章だったのです。

こういう子に対しても、同じアプローチをとって、型を習得してもらうのですが、やはり5年間で培ってしまった癖というのは、一筋縄では直るものではありません。

渡米当初でうちに来ていれば、すんなり習得できていたのですが。
その子も、渡米したばかりの子に対してこんなことを言っていました

「俺もそれをやっておけば、今頃英語で苦労していなかった、だからお前らも頑張れよ」と。

 

英語なんて通じれば文法は関係ない?

文法は二の次で英語なんて通じればいい、だから英文法なんてやらなくて良い、という意見があります。
私はこれには大反対です。
なぜなら子供の自尊心が育たないからです。

文法がめちゃくちゃな英語は聞くにはなんとか耐えられますが、読みたいとは思いません。

そして学校教育とは読み書きの習得です。
通じるだけの最低限の英語を使っていれば、ESLの卒業はできないのはもちろん、何よりも本人が
「自分は英語ができる!」という自信がつきません。

いつまでもいつまでも、自分の英語なんて大したことない、と自尊心がつきません。

 

ESLの英語教育は日本人に合っていない?

現地校では英語を母国語としない子のためのESL (English as a second language)というプログラムが提供されています。

みなさんこれを勘違いしてしまうのですが、アメリカにおいては大半のESL生徒はヒスパニック系の子供達です。

彼らの第一言語であるスペイン語は、非常に英語に似ています。
言語間の距離、という指標があるのですが、スペイン語と英語は文法も単語も非常に似通っています。

一方、日本語と英語は距離が非常にある言語です。
アルファベットも違えば、文法も違うのです。

それなのに、ヒスパニック系の子供達のためのプログラムで英語を勉強する。
これほど非効率なことはありません。

日本人の子供達は、ESLで英語を習得できるとは思えません。

 

3年間で英検準一級取得

「俺、なんか英語わかって来たかも」と言った冒頭の男の子ですが、彼はその後みるみると英語力をつけて、3年間で、ESL卒業はもちろん、中学2年生で英検準1級を取得して帰国。
彼が最初の3ヶ月間で得たことは、表面的には英語の型でしたが、その裏では、自尊心を身につけたのです。

3ヶ月で中学校3年間分の英文法の型を習得した、自分は英語ができる様になる、という自信と希望です。
そしてそのためには、地味な作業である文章を大量に書くことが必要になるのです。

この様に、巣鴨アドバンススクールでは子供達の一人一人の可能性を最大限に引き出すために、様々な勉強法を用意して、一人一人にあったやり方でサポートしています。

今回は渡米したばかりの子の紹介でしたが、そのほかにも漫画を使いながら日本語の語彙力アップをした永住の生徒や、8年間でハリーポッターレベルの日本語を読める様になった永住生、数学の偏差値を20以上あげた生徒、はたまた宿題を全くやってこなかった子が宿題をやる様になったり、様々な人間ドラマがありました。

皆、課題はは違っても、こちらのやるべきことはたった一つ。
彼らの最大限の可能性を引き出すべく、彼らが力を発揮できない原因を取り除き、目標を示し、彼らの力を引き出せるようにすることです。

2018年で巣鴨アドバンススクールも開校して10年となりました。

これも生徒やその保護者がいてくれたからこそです。
10年を経て、バンクーバー校、レドモンド校、幼児用の巣鴨キッズ、大人用の英会話プログラムとより多くの生徒に対応してきました。

今後とも、巣鴨アドバンススクール職員一同、生徒一人一人の可能性を最大限に引き出すべく、より多くの生徒のサポートをしていければと思っています。

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